2016年12月28日水曜日

施設のこと ~初代理事長の想い~



今日は初代理事長の思いを再掲いたします。

1999年2月22日に横浜市で10番目、緑区で初めてとなる老人保健施設として開設したみどりの杜。

当時の広報誌(2002年版)に初代理事長の開設にいたる「想い」が寄せられました。

少し長文となりますが、当施設の原点ともいえる内容となっています。






・・・ここ「みどりの杜」から眼下に拡がる田園風景を眺めた時、大都会の中で静かに歴史を刻んできた稲作文化を捉えることができます。


この恵まれた環境ながら当施設は1999年に開設いたしました。

施設長以下職員50名、理事8名という構成の下スタートし、これまで多くの方々にお力添えをいただいてまいりました。

ここに改めて心より感謝申し上げます。






さて、そもそも私が全く未知の世界であるこの福祉事業に取り組もうと決心したのは、身障者である実妹の将来、つまり老後の事を考えた時でした。

諸般の事情から1年の大半を遠方の施設で過ごす彼女を何とか呼び戻し身内で見守っていく方法はないものかと、さらに又、30年に及ぶ民生委員活動の中で出会った様々な境遇のお年寄りたちが可能な限り住み慣れた環境の中で親しい者達に囲まれた老後を過ごせないものかと。

当時すでに70を過ぎていた自らの信条を踏まえて切実にそう感じました。

これらの事が動機となり人生の後半を全力でこの事業に掛けてみようと決心した次第です。
もとより民生委員という立場で各福祉行政機関との繋がりもありましたが、当初は全く手探りの状態で、覚悟の上とはいえ厳しい試練の場に直面する事もしばしばでした。

そのような中、介護保険制度も新たにスタートし、また、当初耳慣れていなかった介護老人保健施設という名称・形態も広く一般に知られるようになりました。

お陰様で現在は、入所者数は常に定員に達し、ショートスティ、通所リハビリテーションも含め多くの利用者の方々にはやむなくしばらくの間待機していただくという状態が続いています。

「みどりの杜」がこのように皆様に親しまれるようになった理由の一つにボランティアの方々の活躍があると思います。

日常生活の場でのサポートや行事・催し等ではいつも周辺地域のボランティアの方々の力がありました。
また、多くの方々に知っていただく機会が提供できればと各方面からの視察犬種や介護実習生受け入れ、児童・生徒により福祉体験学習への協力等、様々な取り組みをしてまいりました。

人と人とのつながりが如実に大きな力となりうるか改めて感じ入る次第です。

そして、多くの若い職員が切磋琢磨し合い自らの立場に強い使命感をもって日々地道に取り組む姿勢は大きなちからとなってこの施設を支えてくれています。

理事長として深く敬意の念を抱くと共に、改めて襟を正す思いです。

冒頭でもふれましたが、この地は発掘された弥生時代の土器が示すように隠れた古代文化が存在し、足元を流れる恩田川流域では盛んに稲作がおこなわれていました。

それはそのまま現代にも受け継がれています。







私もかつてはこの地で陸稲やさつま芋を作っていました。

しかし時代は先祖より受け継いだこのこの山林を福祉という社会的事業の場へと急変させたのです。

伝統あるこの地にふさわしい、福祉という新たな文化の担い手として皆様のお役に立てれば幸いです。

今後とも「みどりの杜」を挙げて「社会に貢献されてきた皆様」のお力になれるよう、情熱の火を燃やし続けていく所存です。

お力添えをどうぞよろしくお願いいたします。

初代理事長 小島武子



あれから10数年。当時、理事長がこんな話をされていました。

『民生委員としてご自宅を訪ねると、湿気をおびた空気、腐りそうな畳、薄い布団に寝かせられたご老人。見るたびに家族やご本人のことを思い涙がでてきた。これじゃいけない、なんとかしなければ」


この“想い”を大切に、職員一同日々努力していきたいと思います。



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